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統計で見る顕彰馬選定記者投票 1人2票時代に票割れは発生していたのか

前回1人4票制になった2014年以降の票割れ検証をしました。そこで今回は1人2票制だった2013年以前も確認していきます。

gachach.hatenablog.com

支持・不支持の考え方は前回の記事を参照してください。

馬別票割れ発生一覧

馬別にどの年で不支持を受け、票割れの影響を受けているのか見ていきましょう。
対象時期は正式投票が始まった2001年から1人2票制最後の年となった2013年まで、対象馬は次のどれかに当てはまる馬に限ります。

  • 選定馬
  • 得票率の最高値が30%以上
  • 登場回数が10回以上
  • 2005年以降に投票可能でかつ、投票最終年まで全ての回で投票があった馬

また、前回から表示項目や方法を一部変更します。

項目の説明

支持数  実際の投票で得られた票数
中間数  1人2票の制限が無かった場合に得られる可能性がある最大票数
不支持数 1人2票の制限が無くても入らなかった票数
判定   ○:票割れあり、△:票割れ保留、×:票割れ無し、-:選定

判定は機械判定で式は次のとおりです。

-:支持数÷有効投票数≧75%
○:(支持数+(中間数÷2))÷有効投票数≧75%以上
×:不支持数÷有効投票数≧25%以上
△:上記以外

考え方としては中間数の票は全員が入れるとは限らないため、中間数の半数を支持すると仮定したものになります。

 

テイエムオペラオー

記者数 得票数 中間数 不支持数 得票率 可能性率 不支持率 判定
2003 154 105 39 10 68.18% 93.50% 6.50%
2004 172 151 13 8 87.79% 95.30% 4.70% -

テイエムオペラオー 年別支持率・不支持率・推定支持率推移グラフ

2003年の投票では不支持率が6%台しか無いにも関わらず落選。最初の票割れ被害馬と言ってもいいでしょう。翌年は投票方式が現代の馬と過去の馬に分かれ、無事選定されました。

 

タケシバオー

記者数 得票数 中間数 不支持数 得票率 可能性率 不支持率 判定
2001 132 26 65 41 19.70% 68.90% 31.10% ×
2002 137 46 51 40 33.58% 70.80% 29.20% ×
2003 154 47 67 40 30.52% 74.00% 26.00% ×
2004 172 142 15 15 81.98% 91.30% 8.70% -

タケシバオー 年別支持率・不支持率・推定支持率推移グラフ

2001~2003年までは落選しましたが、3年間は不支持率25%以上と意外と多い印象でした。2004年は過去の馬のみの投票戦となり、無事選定されました。

 

ディープインパクト

記者数 得票数 中間数 不支持数 得票率 可能性率 不支持率 判定
2008 186 161 17 8 86.56% 95.70% 4.30% -

ディープインパクト 年別支持率・不支持率・推定支持率推移グラフ

得票率85%を超え1回で選定、票数制限が無ければ最大で95%を獲得する可能性がありました。

 

ウオッカ

記者数 得票数 中間数 不支持数 得票率 可能性率 不支持率 判定
2011 186 157 23 6 84.41% 96.80% 3.20% -

ウオッカ 年別支持率・不支持率・推定支持率推移グラフ

先ほどのディープインパクトと同様1回で選定されています。どんな名馬でも数人は不支持がいることが証明されています。

 

エルコンドルパサー

記者数 得票数 中間数 不支持数 得票率 可能性率 不支持率 判定
2001 132 60 40 32 45.45% 75.80% 24.20%
2002 137 65 39 33 47.45% 75.90% 24.10%
2003 154 55 58 41 35.71% 73.40% 26.60% ×
2004 172 106 41 25 61.05% 85.50% 14.50%
2005 182 119 38 25 65.38% 86.30% 13.70%
2006 185 108 34 43 58.38% 76.80% 23.20%
2007 197 135 28 34 68.53% 82.70% 17.30%
2008 186 95 44 47 51.08% 74.70% 25.30% ×
2009 197 132 23 42 67.01% 78.70% 21.30%
2010 191 126 32 33 65.97% 82.70% 17.30%
2011 186 118 42 26 63.44% 86.00% 14.00%
2012 185 137 23 25 74.05% 86.50% 13.50%
2013 184 119 50 15 64.67% 91.80% 8.20%

エルコンドルパサー 年別支持率・不支持率・推定支持率推移グラフ

1人2票制の最大の被害馬です。年々推定支持率が上がったように見えますが、もしかしたら凱旋門賞2着が後年再評価されたのかもしれません。早いうちから1人4票制になれば2013年以前に顕彰馬の仲間入りを果たしていたでしょう。実際1人4票制となった2014年に選定、顕彰馬の仲間入りを果たしました。

 

スペシャルウィーク

記者数 得票数 中間数 不支持数 得票率 可能性率 不支持率 判定
2001 132 54 46 32 40.91% 75.80% 24.20%
2002 137 31 61 45 22.63% 67.20% 32.80% ×
2003 154 17 93 44 11.04% 71.40% 28.60% ×
2004 172 18 125 29 10.47% 83.10% 16.90%
2005 182 55 74 53 30.22% 70.90% 29.10% ×
2006 185 77 57 51 41.62% 72.40% 27.60% ×
2007 197 75 57 65 38.07% 67.00% 33.00% ×
2008 186 26 110 50 13.98% 73.10% 26.90% ×
2009 197 65 52 80 32.99% 59.40% 40.60% ×
2010 191 63 68 60 32.98% 68.60% 31.40% ×
2011 186 29 127 30 15.59% 83.90% 16.10%
2012 185 82 53 50 44.32% 73.00% 27.00% ×
2013 184 44 118 22 23.91% 88.00% 12.00%

スペシャルウィーク 年別支持率・不支持率・推定支持率推移グラフ

毎年3割前後の得票率を集めていたものの、不支持率も毎年3割前後ありました。そのため、仮に1人2票までと言った票数制限が無くても75%のハードルを超えることは難しかったと思われます。

 

ダイワスカーレット

記者数 得票数 中間数 不支持数 得票率 可能性率 不支持率 判定
2010 191 61 75 55 31.94% 71.20% 28.80% ×
2011 186 15 141 30 8.06% 83.90% 16.10%
2012 185 40 92 53 21.62% 71.40% 28.60% ×
2013 184 17 145 22 9.24% 88.00% 12.00%

ダイワスカーレット 年別支持率・不支持率・推定支持率推移グラフ

初年度は得票率3割程度集めていたものの、不支持が3割近くあるため現行のボーダーでは難しいでしょう。選定対象になった後でブエナビスタが出現した影響もあるかもしれません。

 

ブエナビスタ

記者数 得票数 中間数 不支持数 得票率 可能性率 不支持率 判定
2013 184 90 78 16 48.91% 91.30% 8.70%

ブエナビスタ 年別支持率・不支持率・推定支持率推移グラフ

選定対象初年度の2013年で支持率が低いことから、もし初期で4票まで投票することが出来たのなら選定されていた可能性を感じます。

 

グラスワンダー

記者数 得票数 中間数 不支持数 得票率 可能性率 不支持率 判定
2002 137 19 75 43 13.87% 68.60% 31.40% ×
2003 154 1 109 44 0.65% 71.40% 28.60% ×
2004 172 3 140 29 1.74% 83.10% 16.90%
2005 182 5 122 55 2.75% 69.80% 30.20% ×
2006 185 8 116 61 4.32% 67.00% 33.00% ×
2007 197 2 120 75 1.02% 61.90% 38.10% ×
2008 0 0 0 0 0.00%     ×
2009 197 1 110 86 0.51% 56.30% 43.70% ×
2010 191 1 125 65 0.52% 66.00% 34.00% ×
2011 0 0 0 0 0.00%     ×
2012 185 4 127 54 2.16% 70.80% 29.20% ×
2013 184 1 160 23 0.54% 87.50% 12.50%

グラスワンダー 年別支持率・不支持率・推定支持率推移グラフ

ここからは1桁票数が多い馬が続きます。不支持率は似たような数値になるため、票数や得票率の変動を中心に補足レベルの説明になります。

初回の2002年は票を集めたものの、その後は1桁票数を推移、顕彰馬が誕生した2008年と2011年は0票と厳しかったようです。

 

ミホノブルボン

記者数 得票数 中間数 不支持数 得票率 可能性率 不支持率 判定
2001 132 3 86 43 2.27% 67.40% 32.60% ×
2002 137 7 82 48 5.11% 65.00% 35.00% ×
2003 154 4 107 43 2.60% 72.10% 27.90% ×
2004 172 4 141 27 1.74% 84.30% 15.70%
2005 182 11 117 54 6.04% 70.30% 29.70% ×
2006 185 16 112 57 8.65% 69.20% 30.80% ×
2007 197 8 115 74 4.06% 62.40% 37.60% ×
2008 186 2 134 50 1.08% 73.10% 26.90% ×
2009 197 5 107 85 2.54% 56.90% 43.10% ×
2010 191 4 124 63 2.09% 67.00% 33.00% ×
2011 186 2 155 29 1.08% 84.40% 15.60%
2012 185 4 129 52 2.16% 71.90% 28.10% ×
2013 184 2 159 23 1.09% 87.50% 12.50%

ミホノブルボン 年別支持率・不支持率・推定支持率推移グラフ

一番投票数が低い年でも2票、他の年は4票と毎年一定の人が投票し、優先度によって変えていたように見えます。

 

マヤノトップガン

記者数 得票数 中間数 不支持数 得票率 可能性率 不支持率 判定
2001 132 11 80 41 8.33% 68.90% 31.10% ×
2002 137 3 85 49 2.19% 64.20% 35.80% ×
2003 154 1 109 44 0.65% 71.40% 28.60% ×
2004 172 3 140 29 1.74% 83.10% 16.90%
2005 182 2 125 55 1.10% 69.80% 30.20% ×
2006 185 6 118 61 3.24% 67.00% 33.00% ×
2007 197 2 120 75 1.02% 61.90% 38.10% ×
2008 186 3 133 50 1.61% 73.10% 26.90% ×
2009 197 2 109 86 1.02% 56.30% 43.70% ×
2010 191 1 125 65 0.52% 66.00% 34.00% ×
2011 186 2 154 30 1.08% 83.90% 16.10%
2012 185 1 130 54 0.54% 70.80% 29.20% ×
2013 184 1 160 23 0.54% 87.50% 12.50%

マヤノトップガン 年別支持率・不支持率・推定支持率推移グラフ

選考委員会時代はG1を4勝でも選定されず、投票でも苦戦を強いられました。ですが、根強く推す記者がいたようです。

 

エアグルーヴ

記者数 得票数 中間数 不支持数 得票率 可能性率 不支持率 判定
2001 132 8 84 40 6.06% 69.70% 30.30% ×
2002 137 4 84 49 2.92% 64.20% 35.80% ×
2003 0 0 0 0 0.00%     ×
2004 172 5 138 29 2.91% 83.10% 16.90%
2005 182 5 122 55 2.75% 69.80% 30.20% ×
2006 185 7 117 61 3.78% 67.00% 33.00% ×
2007 197 4 118 75 2.03% 61.90% 38.10% ×
2008 186 2 135 49 1.08% 73.70% 26.30% ×
2009 197 3 108 86 1.52% 56.30% 43.70% ×
2010 191 2 124 65 1.05% 66.00% 34.00% ×
2011 0 0 0 0 0.00%     ×
2012 185 1 131 53 0.54% 71.40% 28.60% ×
2013 184 3 158 23 1.63% 87.50% 12.50%

エアグルーヴ 年別支持率・不支持率・推定支持率推移グラフ

自身はG1を2勝、牡馬相手に勝ち負けをする当時は珍しいタイプの馬でした。アドマイヤグルーヴなど産駒からG1馬も誕生していますが、票への反応はわずかなものでした。

 

サイレンススズカ

記者数 得票数 中間数 不支持数 得票率 可能性率 不支持率 判定
2001 132 2 88 42 1.52% 68.20% 31.80% ×
2002 137 2 86 49 1.46% 64.20% 35.80% ×
2003 154 2 108 44 1.30% 71.40% 28.60% ×
2004 172 3 140 29 2.33% 83.10% 16.90%
2005 182 9 119 54 4.95% 70.30% 29.70% ×
2006 185 6 119 60 3.24% 67.60% 32.40% ×
2007 197 6 116 75 3.05% 61.90% 38.10% ×
2008 186 4 132 50 2.15% 73.10% 26.90% ×
2009 197 6 106 85 3.05% 56.90% 43.10% ×
2010 191 5 122 64 2.62% 66.50% 33.50% ×
2011 186 5 152 29 2.69% 84.40% 15.60%
2012 185 6 126 53 3.24% 71.40% 28.60% ×
2013 184 5 157 22 2.72% 88.00% 12.00%

サイレンススズカ 年別支持率・不支持率・推定支持率推移グラフ

2005年から票が増える珍しいタイプです。選定馬が出る出ないに関わらず毎年5票前後と安定していました。

 

メジロドーベル

記者数 得票数 中間数 不支持数 得票率 可能性率 不支持率 判定
2001 132 5 84 43 3.79% 67.40% 32.60% ×
2002 137 3 85 49 2.19% 64.20% 35.80% ×
2003 0 0 0 0 0.00%     ×
2004 0 0 0 0 0.00%     ×
2005 0 0 0 0 0.00%     ×
2006 185 1 124 60 0.54% 67.60% 32.40% ×
2007 197 1 122 74 0.51% 62.40% 37.60% ×
2008 186 1 135 50 0.54% 73.10% 26.90% ×
2009 197 1 110 86 0.51% 56.30% 43.70% ×
2010 191 1 126 64 0.52% 66.50% 33.50% ×
2011 186 1 155 30 0.54% 83.90% 16.10%
2012 185 1 130 54 0.54% 70.80% 29.20% ×
2013 184 1 160 23 0.54% 87.50% 12.50%

メジロドーベル 年別支持率・不支持率・推定支持率推移グラフ

2006年以降は毎年1票のみ入りこの馬を推している記者がいたことが分かります。

 

ヴィクトワールピサ

記者数 得票数 中間数 不支持数 得票率 可能性率 不支持率 判定
2013 184 49 112 23 26.63% 87.50% 12.50%

ヴィクトワールピサ 年別支持率・不支持率・推定支持率推移グラフ

2013年のスペシャルウィークと比較すると得票率は多いですが、不支持率も多いため、両極端な印象です。

 

アグネスデジタル

記者数 得票数 中間数 不支持数 得票率 可能性率 不支持率 判定
2005 182 29 101 52 15.93% 71.40% 28.60% ×
2006 185 16 110 59 8.65% 68.10% 31.90% ×
2007 197 16 107 74 8.12% 62.40% 37.60% ×
2008 186 7 129 50 3.76% 73.10% 26.90% ×
2009 197 13 100 84 6.60% 57.40% 42.60% ×
2010 191 18 108 65 9.42% 66.00% 34.00% ×
2011 186 7 149 30 3.76% 83.90% 16.10%
2012 185 8 124 53 4.32% 71.40% 28.60% ×
2013 184 4 157 23 2.17% 87.50% 12.50%

アグネスデジタル 年別支持率・不支持率・推定支持率推移グラフ

年によって票のバラつきが大きいです。優先度によって変わるタイプでしょうか。

 

ニホンピロウイナー

記者数 得票数 中間数 不支持数 得票率 可能性率 不支持率 判定
2001 132 3 87 42 2.27% 68.20% 31.80% ×
2002 137 6 82 49 4.38% 64.20% 35.80% ×
2003 154 5 105 44 3.25% 71.40% 28.60% ×
2004 172 10 133 29 5.81% 83.10% 16.90%
2005 182 18 112 52 9.89% 71.40% 28.60% ×
2006 185 7 118 60 3.78% 67.60% 32.40% ×

ニホンピロウイナー 年別支持率・不支持率・推定支持率推移グラフ

投票最終年の2006年まで毎年必ず投票がありました。投票期間対象外のタイミングで票が入ることもあった影響で無効票となる年が過去何回か発表され、投票システムを把握していない記者がいたことが分かります。

 

まとめ

以上より次の結論になります。

票割れが起きていた馬

一部の期間に票割れが起きていた馬

おわりに

1人2票制の時代でもテイエムオペラオーの初回とエルコンドルパサー以外の馬は票割れは全く関係無く、不支持の記者が一定数以上いたため、顕彰馬になれなかったことが分かるでしょう。また、仮に選定基準を現行の3/4(75%)以上から2/3(66.6%)以上へ下げたところで選ばれたのは初年度のブエナビスタぐらいだったと思います。

今回は記事が長くなりすぎることを考慮して十数頭まで絞り込みをしました。もし、他の馬で今回のような内容が知りたい場合はコメント欄などでリクエストを頂けましたら、今回とは別記事に分けて書いてみようと思います。ただし、過去で票が入ったことが無い馬やデータを未取得の2022年は書けませんのでご了承ください。

 

参考サイト・資料

  • 平成13年度顕彰馬選考投票有資格者名簿最終結果(2001年)
  • 平成14~16年度顕彰馬選考投票一覧(2002~2004年)
  • 平成17~21年度顕彰馬選考投票者一覧(2005~2009年)
  • 平成22~25年度顕彰馬記者投票結果一覧(2010~2013年)