アーモンドアイ号をはじめとした名馬が落選した2022年顕彰馬選定記者投票。実際にどのような投票パターンで投票が行われたのか、それに関わる統計データがどのようになっているのか確認してみましょう。
使用する資料
今回も使用する資料はこちらを使用します。
個人情報はマスキングされているため、どの記者がどの馬へ投票したのかは分かりません。しかし、投票馬のパターンは過去の統計と同じく分かるため問題ありません。
また推測になりますが、投票結果一覧の並び順はシャッフルされていると思われるため、JRAHPに公開されている記者名簿一覧を順番通りに当てはめても実際に投票した記者にはなりません。
投票頭数別記者の人数
実際に記者が何頭投票しているのか、記者の人数と全体に占める割合を見ましょう。
投票頭数 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
0頭 | 3人 | 1.49% |
1頭 | 29人 | 14.36% |
2頭 | 24人 | 11.88% |
3頭 | 26人 | 12.87% |
4頭 | 120人 | 59.41% |
4票全て該当馬なしへ投票した記者の人数は3人と少数ですがいるようです。
記者の投票頭数の人数を例年と比較したグラフは次のとおりになります。
こう見ると2021年と比較した場合、0頭投票者の割合が大きく減り、4頭投票者の割合が増えたことが分かります。傾向としては2019年のキタサンブラックが落選したときと類似しているようにも見えます。
競走馬別票割れ発生一覧
次に競走馬別にどれぐらいの不支持を受け、票割れの影響を受けているのか見ていきましょう。
項目の説明
支持数 実際の投票で得られた票数
中間数 1人2票の制限が無かった場合に得られる可能性がある最大票数
不支持数 1人2票の制限が無くても入らなかった票数
判定 ○:票割れあり、△:票割れ保留、×:票割れ無し、-:選定
判定は機械判定で式は次のとおりです。
-:支持数÷有効投票数≧75%
○:(支持数+(中間数÷2))÷有効投票数≧75%以上
×:不支持数÷有効投票数≧25%以上
△:上記以外
考え方としては中間数の票は全員が入れるとは限らないため、中間数の半数を支持すると仮定したものになります。
競走馬別一覧
馬名 | 記者数 | 得票数 | 中間数 | 不支持数 | 得票率 | 可能性率 | 不支持率 | 判定 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
アーモンドアイ | 202 | 144 | 32 | 26 | 71.30% | 87.10% | 12.90% | ○ |
キングカメハメハ | 202 | 144 | 18 | 40 | 71.30% | 80.20% | 19.80% | ○ |
ブエナビスタ | 202 | 91 | 48 | 63 | 45.00% | 68.80% | 31.20% | × |
モーリス | 202 | 78 | 55 | 69 | 38.60% | 65.80% | 34.20% | × |
ヴィクトワールピサ | 202 | 30 | 91 | 81 | 14.90% | 59.90% | 40.10% | × |
ステイゴールド | 202 | 27 | 96 | 79 | 13.40% | 60.90% | 39.10% | × |
クロフネ | 202 | 24 | 101 | 77 | 11.90% | 61.90% | 38.10% | × |
アグネスデジタル | 202 | 21 | 103 | 78 | 10.40% | 61.40% | 38.60% | × |
ダイワスカーレット | 202 | 21 | 103 | 78 | 10.40% | 61.40% | 38.60% | × |
ゴールドシップ | 202 | 18 | 104 | 80 | 8.90% | 60.40% | 39.60% | × |
シーザリオ | 202 | 13 | 111 | 78 | 6.40% | 61.40% | 38.60% | × |
リスグラシュー | 202 | 7 | 115 | 80 | 3.50% | 60.40% | 39.60% | × |
ハーツクライ | 202 | 5 | 115 | 82 | 2.50% | 59.40% | 40.60% | × |
エピファネイア | 202 | 3 | 117 | 82 | 1.50% | 59.40% | 40.60% | × |
ダイワメジャー | 202 | 3 | 117 | 82 | 1.50% | 59.40% | 40.60% | × |
アパパネ | 202 | 2 | 118 | 82 | 1.00% | 59.40% | 40.60% | × |
ジャスタウェイ | 202 | 2 | 118 | 82 | 1.00% | 59.40% | 40.60% | × |
シンボリクリスエス | 202 | 2 | 118 | 82 | 1.00% | 59.40% | 40.60% | × |
グラフで表すと次のようになります。
アーモンドアイは不信任が他の競走馬と比較して少ないことが分かります。
キングカメハメハは4頭投票した記者の大半は入れていますが、アーモンドアイと比較して不信任の割合が多く見えます。
ブエナビスタ、モーリスをはじめとした他の競走馬は不信任が30%以上あるため、仮に信任投票形式でも落選となっていたでしょう。
まとめ
以上より次の結論になります。
票割れが起きていた馬
- アーモンドアイ(初年度)
- キングカメハメハ
ただし、キングカメハメハは4頭全て投票し自身へ投票できなかった記者が半数入れて75%ギリギリ超える範囲なので、仮に信任投票形式で行った場合は落選する可能性もあります。
票割れとは関係なく落選した馬
- ブエナビスタ
- モーリス
- ヴィクトワールピサ
- ステイゴールド(最終年)
- クロフネ(最終年)
- アグネスデジタル
- ダイワスカーレット
- ゴールドシップ
- シーザリオ
- リスグラシュー
- ハーツクライ
- エピファネイア
- ダイワメジャー
- アパパネ
- ジャスタウェイ
- シンボリクリスエス
おわりに
2022年のアーモンドアイに関しては票割れが起こるシステム側の問題ももちろんあります。しかし記者の12.9%が顕彰馬にはふさわしくないと結論付けたこともあると考えます。
キングカメハメハについては年々票を増やしつつ後一歩が足りませんでしたが、昨年と違い票割れの可能性も見えてきました。個人的には信任形式でどれぐらいの得票数を獲得できるのか見てみたい気持ちもあります。
それと来年2023年の記者投票ですが、投票対象外となるのはクロフネ、ステイゴールドの2頭です。反対に投票対象となるのはコントレイル、グランアレグリア、クロノジェネシス、ラヴズオンリーユーなど実績のある競走馬が複数投票対象になります。単純計算で2頭合わせて51票分の空席が発生しますが、それを上回る票数が必要になるでしょう。現システムのままでは来年の場合、票割れになることは確実です。
そのため、1人辺りの投票数を6票や8票などに増やす等の事前対策がJRAから実施されるのか注目されるところです。
(おまけ)投票パターン
おまけで投票パターンを記者別投票頭数毎に掲載します。
並び順は、投票頭数>投票者数>得票数の多い馬順になります。
参考サイト・資料
- JRA公式サイト 2022年度投票結果
- 2022年度顕彰馬記者投票結果一覧