先日ロンジンワールドベストレースホースランキング(LWBRR)が発表され、フライトラインが139、バーイードが135を獲得しました。暫定値ですが、2頭ともランキングが開始された1977年以降*1以来トップ10に入る快挙です。また、フライトラインは1995年にアメリカ調教馬が掲載対象となって以来、ダート部門歴代1位となりました。
ランキングの詳細はJRA公式サイトなどをご覧ください。
さて、歴史に名を刻む2頭ですが歴代トップの座はフランケルがレーティング140でキープしています。この2頭がレーティング140まで到達するためにはどのような条件が必要か考えてみましょう。
基礎知識
レーティングで高い数値を出す場合、2つの要素が必要になります。
着差をつける
レーティングにおいて着差をつけるのは数値を上昇させるために重要なことです。
2022年天皇賞(春)を7馬身差圧勝したタイトルホルダーは2着ディープボンドと7ポンド差をつけることに成功しました。
レーティングが高い馬を倒す
同じ着差をつけても倒した相手によって変わる場合があります。いくらレーティングが低い相手に対して着差をつけて勝利しても、与えられるレーティングには上限があります。
過去の例では2021年福島民法杯でマイネルウィルトスが2着と1.8秒差の大差勝ちをしましたが、与えられたレーティングは103と並のリステッドよりも少し上の数値でした。
以上を踏まえると強い相手に差をつけて勝てば高い数値が付きやすいです。
フライトラインの場合
次走予定
11月5日(土)のBCクラシック(ダート2000m)が予定されています。
レーティング上位出走予定馬
ライフイズグッド、エピセンターがレーティング125とロンジンワールドベストレースホースの1桁順位になる馬が出走予定です。
1馬身辺りのポンド数
BCクラシックが施行されるダート2000mでは過去の統計上、1馬身辺り大体1.5ポンドの差がつきます。
モデルケース
レーティング140ポンドになるためには、ライフイズグッドかエピセンターと15ポンド以上の差をつけて勝つ必要があります。15ポンド差を着差に表すと次のようになります。
15ポンド÷1.5=10馬身
1~2着の差は補正がかかる場合もありますが、単純計算上は10馬身差が必要でしょう。BCクラシック史上これまでの最大着差は6馬身1/2差をつけた2002年ヴォルポニ、2015年アメリカンファラオの2頭のため、高い難易度なのが分かるでしょう。
もちろん、1着フライトライン、2着ライフイズグッド8馬身、3着エピセンター2馬身のようなケースでも達成する可能性はあるため一概には言えません。
また、BCクラシック等の結果を受けて、パシフィッククラシックSの139が上方修正される可能性も捨てきれません。
バーイードの場合
次走予定
10月16日(土)の英チャンピオンS(芝2000m)が予定されています。
レーティング上位出走予定馬
登録馬の中ではヴァデニがレーティング123、ルクセンブルクが122、オネストが121となります。ただし、凱旋門賞などと重複登録しているため、実際に出走するかはわかりません。
1馬身辺りのポンド数
英チャンピオンSが施行される芝2000mでは過去の統計上、1馬身辺り大体1.75ポンドの差がつきます。
モデルケース
レーティング140ポンドになるためには、ヴァデニなら17ポンド差、オネストでは19ポンド差をつけて勝つ必要があります。
ここではヴァデニの17ポンド差を着差に表してみましょう。
17ポンド÷1.75≒9.75馬身
つまり10馬身差近くは必要になる見込みです。ただ、インターナショナルSではBHAハンデキャッパーが6.5馬身差で14ポンドと変換したため、8馬身程度まで下がる可能性はあります。
2017年同レースを勝ったクラックスマンは7馬身差圧勝なので不可能ではないものの、高いハードルが待ち構えています。
おわりに
バーイードは約1か月後、フライトラインはおよそ1か月半後にレースを迎えます。両馬ともフランケルのレーティング140に並ぶためには高いハードルが待ち構えていますが、2頭の可能性を信じたいと願います。
*1:前身のインターナショナルクラシフィケーション等も含む