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JRA賞最優秀障害騎手と障害リーディングジョッキーの違い

先日、2025年度JRA賞が発表され最優秀障害騎手は小牧加矢太騎手になりました。ところが、障害競走でリーディングの高田潤騎手ではないことに疑問を持たれた方も見かけました。

そこで今回はJRA賞最優秀障害騎手がどのように決定をするか規則を元に説明、過去の年度も振り返ってみようと思います。

JRA賞最優秀障害騎手の決まり方

JRA賞表彰規則によって定められており、最優秀障害騎手は下記のようになります。

第3章 調教師及び騎手に関するJRA賞

(騎手に関するJRA賞

第6条 当該年度の騎乗成績(本会の競走馬登録を受けている馬に騎乗して得たものに限る。以下同じ。)により、別表第3の左欄に掲げる部門ごとに、同表右欄に掲げる騎手にJRA賞を授与する。

 

別表第3(第6条関係)

最優秀障害騎手 厩舎関係者表彰規則第10条に規定する優秀障害騎手賞の受賞者のうち、その順位が最上位の騎手

日本中央競馬会JRA賞表彰規則(令和4年12月1日改正)より抜粋

厩舎関係者表彰の優秀障害騎手賞1位が受賞者になります。そのため、次は厩舎関係者表彰規則を確認する必要があります。

なお、過去の改正履歴を確認したところ、2017年度までは最多勝障害騎手の名称、2018年度から現行の最優秀障害騎手となりました。

 

厩舎関係者表彰・優秀障害騎手賞の決まり方

日本中央競馬会厩舎関係者表彰規則と日本中央競馬会厩舎関係者表彰規則実施細則で定められており、優秀障害騎手賞は下記のようになります。

第2節 騎手表彰

第8条 理事長の行う騎手に対する表彰は、第16条及び第20条による表彰を除き次の8種とし、毎年1回行うものとする。
(2) 優秀障害騎手賞

 

第10条 優秀障害騎手賞は、当該年度の競走において、次に掲げる各項目の総合得点(各項目の順位に対応する別表2の右欄に掲げる点数を合計した点数をいう。)の高い2名に、その順位により授与する。この場合において、障害競走における年間騎乗回数が25回に満たない騎手にあつては、第1号の項目に限り、順位付けの対象から除くものとする。
(1) 勝率(騎乗した障害競走において得た1着の回数を障害競走における年間騎乗回数で除した率をいう。)
(2) 障害勝利数(騎乗した障害競走において得た1着の回数をいう。以下同じ。)
(3) 獲得賞金(騎乗した障害競走の数をいう。)
(4) 年間騎乗回数(騎乗した障害競走の数をいう。)

2 前項の規定による総合得点が同じである者が複数あつた場合においては、理事長が別に定める基準により、順位付けを行う。

 

第15条 第8条第1号から第5号までの表彰は、当該年度において、30日を超える騎乗停止以上の制裁を受けた者及び理事長が不適当と認めた者には、行わない。

 

第4章 雑則

第21条 この規則を実施するために必要な細則は、理事長が定める。

 

別表第2(第10条関係)

順位 点数
1位 5点
2 4
3 3
4 2
5 1

日本中央競馬会厩舎関係者表彰規則(令和3年11月18日改正)より抜粋

以上が日本中央競馬会厩舎関係者表彰規則で定められている内容の一部になります。この他に実施細則でも定められており、点数を計算するために必要な該当部分は下記になります。

(年度表彰における同順位が複数あった場合の取扱い)

第5条 規則第9条から第12条まで及び第14条に規定する勝率、勝利度数、獲得賞金、年間騎乗回数、障害勝利度数の各項目において、順位が同じである者が複数あった場合は、次の各号のとおりとする。
(1) 勝率に係る順位が同じである者が複数あった場合は、それらの者のうちで、2着以下のそれぞれの着順を得た確率のうち上位の着順を得た確率が高い者を上位の順位とみなす。
(2) 勝利度数又は障害勝利度数に係る順位が同じである者が複数あった場合は、それらの者のうちで、2着以下のそれぞれの着順の回数のうち上位の着順を得た回数が多い者を上位の順位とみなす。
(3) 獲得賞金に係る順位が同じである者が複数あった場合は、それらの者のうちで、1着以下のそれぞれの着順で得た賞金のうち上位の着順で得た賞金が多い者を上位の順位とみなす。
(4) 年間騎乗回数に係る順位が同じである者が複数あった場合は、それらの者のうちで、1着以下のそれぞれの着順の回数のうち上位の着順を得たか数が多い者を上位の順位とみなす。

 

第6条 規則第9条第1項又は第10条第1項の規定による総合得点が同じである者が複数あった場合は、それらの者のうちで、勝利度数又は障害勝利度数が多い者、獲得賞金が多い者、勝率が高い者、年間騎乗回数が多い者の順で上位の順位とみなす。

 

(規則にいう賞金)

第7条 規則第5条第1項、第9条第1項及び第10条第1項において「賞金」とは、競馬番組一般事項に定める本賞及び付加賞、地方競馬指定交流競走に係る本賞金とされるもの(交流競走奨励金交付基準の規定により交付される本賞との差額を含む。)並びに外国の競馬の競走に係る本賞金(別に定める換算表により日本円に換算したもの)をいうものとする。

日本中央競馬会厩舎関係者表彰規則実施細則(令和3年8月1日改正)より抜粋

つまりJRA賞MVJ(Most Valuable Jockey)と同様に障害競走における勝率、勝利度数、獲得賞金、騎乗回数の4項目毎に順位を付け、順位に応じたポイントを配分、4項目のポイント合計が多い騎手が得ることになります。ポイント配分は各項目5位まで与えられ、1位から5点、2位4点…、5位1点の順です。

 

詳細まとめ

文章のみだと分かりにくいため、下記に詳細などまとめてみました。

各項目の説明
  • 勝率  :勝利度数÷騎乗回数 ※この項目のみ騎乗回数25回以上が順位対象
  • 勝利度数:障害競走の1着回数
  • 獲得賞金:障害競走で獲得した賞金(JRAの場合は本賞金+付加賞金)
  • 騎乗回数:騎乗した障害競走数

勝率のみ騎乗回数の最低条件が設定されていますが、他の項目は特に条件はありません。

 

各項目同率時の順位の決め方
  • 勝率  :2着率の多い順(それでも同じ場合は3着率、4着率…と順に比較。以下同様)
  • 勝利度数:2着数の多い順(3着数、4着数…と順に比較)
  • 獲得賞金:1着賞金の多い順(2着賞金、3着賞…と順に比較)
  • 騎乗回数:1着回数の多い順(2着回数、3着回数…と順に比較)

各項目とも同率順位を極力減らすよう設定があり、同じポイントが配分されるケースはほぼ無いでしょう。

 

優秀障害騎手賞の対象者

ポイント上位2名が優秀障害騎手賞の対象になります。JRA賞最優秀障害騎手は1位が対象です。

 

同点の場合

障害競走における勝利度数>獲得賞金>勝率>年間騎乗回数の多い順に決まります。

勝利度数が同じケースは見かけますが、獲得賞金が同じケースは稀なため、勝率や年間騎乗回数で比較することはほぼ見かけないでしょう。

 

2025年度のJRA賞最優秀障害騎手と優秀障害騎手賞のポイント一覧

2025年度優秀障害騎手賞のポイント一覧は下記画像のような試算になります。

2025年度JRA優秀障害騎手賞ポイント一覧試算

※計算ミスなどありましたらコメント欄などでご連絡ください

2025年度は高田潤が3項目で1位を獲得しましたが、小牧加矢太騎手が4項目全て2位のため、1pt差でJRA賞最優秀障害騎手に選ばれました。

なお、2024年度まではいずれもJRA賞最優秀障害騎手=障害リーディングジョッキーの図式のため、2025年度で初めて不一致の結果となりました。

 

過去のJRA賞最優秀障害騎手と優秀障害騎手賞のポイント一覧

以下、現行基準となった2017年度以降のポイント一覧試算も確認しましょう。

 

2017年度

2017年度JRA優秀障害騎手賞ポイント一覧試算

石神騎手と熊沢騎手の2人が優秀障害騎手賞を受賞、石神騎手がJRA最優秀障害騎手となりました。2人とも3位以下を大きく引き離しています。一番ポイント差が大きい項目は騎乗回数でした。

 

2018年度

2018年度JRA優秀障害騎手賞ポイント一覧試算

五十嵐騎手と平沢騎手が優秀障害騎手賞を受賞、五十嵐騎手がJRA最優秀障害騎手となりました。五十嵐騎手がが4項目とも3位以内と安定してポイントを稼いでいます。

 

2019年度

2019年度JRA優秀障害騎手賞ポイント一覧試算

森騎手と石神騎手が優秀障害騎手賞を受賞、森騎手がJRA最優秀障害騎手となりました。統計上は森騎手は勝率、石神騎手は騎乗回数で5-0ptと差がついています。

 

2020年度

2020年度JRA優秀障害騎手賞ポイント一覧試算

前年に引き続き、森騎手と石神騎手が優秀障害騎手賞を受賞、森騎手がJRA最優秀障害騎手となりました。森騎手は今回の高田騎手のように騎乗回数以外は全て1位とポイントを稼いでいます。

 

2021年度

2021年度JRA優秀障害騎手賞ポイント一覧試算

3年連続、森騎手と石神騎手が優秀障害騎手賞を受賞、森騎手がJRA最優秀障害騎手となりました。石神騎手と平沢騎手がポイントで並び、勝利度数も同じですが、獲得賞金の差で石神騎手が2位となり優秀障害騎手賞2位に選ばれています。

 

2022年度

2022年度JRA優秀障害騎手賞ポイント一覧試算

石神騎手と森騎手が優秀障害騎手賞を受賞、森騎手がJRA最優秀障害騎手となりました。前年とは順位が入れ替わり、障害リーディングジョッキーも2着の差で石神騎手のようです。

 

2023年度

2023年度JRA優秀障害騎手賞ポイント一覧試算

石神騎手と小牧騎手が優秀障害騎手賞を受賞、石神騎手がJRA最優秀障害騎手となりました。小牧騎手と五十嵐騎手がポイント同率で並んでいますが勝利度数の差で小牧騎手が2位になりました。

 

2024年度

2024年度JRA優秀障害騎手賞ポイント一覧試算

小牧騎手と上野騎手が優秀障害騎手賞を受賞、小牧騎手がJRA最優秀障害騎手となりました。3位以下を大きく引き離した2名ですが、ポイント合計と勝利度数も一緒、獲得賞金の差が明暗を分けました。

 

2016年度以前

2016年度以前はJRA賞最多勝障害騎手のため、障害リーディングジョッキーとほぼ一致していました。ただ、JRA賞最多勝障害騎手は勝利度数の最低ラインがあり、年度によって異なりました。

  • 1987年度:1着15回以上
  • 1988年度以降:1着10回以上

そのため、年度によってはJRA賞最多勝障害騎手が該当者なしもありました。

 

おわりに

JRA賞最優秀障害騎手と障害リーディングジョッキーの違いやポイント一覧イメージが少しでも伝わればと思い、今回記事を書いてみました。項目毎のポイント制だと試算する手間もあるため、手を出しにくいところは正直ありました。

個人的に現行制度で気になった点は厩舎関係者表彰やJRA賞だと障害騎手の場合、障害リーディングジョッキーに対する賞が何もありません。平地競走も含めた総合ではMVJとJRA最多勝利騎手の2種類あるため、障害騎手にもJRA賞でMVJに該当する最優秀障害騎手の他にリーディングに対する受賞があればとは少し思いました。

 

参考資料