百々書き置き場

SNSに書き切れなかったり記録として残しておきたい内容を置いておくところ

JRA顕彰馬選定記者投票2024年展望

毎年恒例となったJRA顕彰馬選定記者投票の結果発表が近づいてきました。昨年はアーモンドアイが顕彰馬に選定、コントレイルは落選となりました。今年はどのようになるか展望してみましょう。

記者投票の期間と発表日想定

中日スポーツの記事より、昨年の投票期間は2023年5月6日(土)~5月28日(日)日本ダービー当日までが期限でした。

www.chunichi.co.jp

また、今年の投票は5月26日(日)に締め切られました。

 

発表日は電子投票化された2018年以降だと、期限日の翌週火曜日14時頃に発表される傾向があるため、今年の場合は6月4日(火)と想定します。

 

主な新規投票対象馬

投票対象となるにはJRAの登録を抹消して1年以上経過する必要があります。そのため、2022年4月1日~2023年3月31日の間にJRAの登録を抹消した競走馬が今年度から新しく投票対象になります。

そのうち、G1/Jpn1/JG1を3勝以上した馬は次のとおりです。

馬名

G1/Jpn1
/JG1
勝利数

主な成績
オジュウチョウサン 9 中山グランドジャンプ6勝、中山大障害3勝
オメガパフューム 5 東京大賞典4勝、帝王賞
チュウワウィザード 4 チャンピオンズC、JBCクラシック川崎記念2勝
エフフォーリア 3 皐月賞天皇賞・秋有馬記念

 

【参考】2025年度投票から対象になる馬

参考までに来年の投票から投票対象となる主な競走馬は次のとおりです。

 

今年度が最後の投票対象馬

JRA登録抹消から20年以内の競走馬が投票対象のため、逆算すると2003年4月1日~2004年3月31日までにJRA登録抹消した競走馬は今年度が最後の投票対象となります。
過去に投票があった馬で今年ラストチャンスとなる競走馬は次のとおりです。

アグネスデジタルは毎年票を集め、得票率は毎年10%前後をキープしています。シンボリクリスエスの初回得票率は約20%でしたが、近年は数票に留まっています。エイシンプレストンへ投票されたのは2005年のみで当時の票数は1票でした。

また、南米で数多くのG1馬を輩出したアグネスゴールドも今年が投票最終年となります。国際保護馬名を受けた数少ない日本馬なので、顕彰馬投票でも票数として評価されて欲しいとは思います。

他にダートで自身・産駒共に活躍したゴールドアリュールも今回で最後になります。

 

【参考】2025年度投票で最後の投票になる馬

参考までに来年の投票で最後の年となる主な競走馬は次のとおりです。なお、ルール改定された場合はこの限りではありません。

 

ルール変更点

今年の投票ではルール変更が何点か確認できました。

顕彰馬規則細則

(顕彰馬記者投票)

第2条(略)

2 記者投票の投票期間は、毎年度理事長が定めるものとする。

 

(投票資格)

第3条 記者投票は、次の資格を有する者により行うものとする。

(1)当該年の記者投票の開始日において、中央競馬記者クラブに通算10年以上加入し、取材活動している者
(会友(新たに会友となった日から起算して3年を経過するまでの者に限る。)を含む。)

1つ目は投票期間に関するもので、ルール上では理事長が定めるようになりました。ただ、今年は期間が例年と同じため変更はありませんでしたが、次回以降に何か変わるかもしれません。

2つ目は記者クラブ所属者の実績判定日が明示化されたことです。次の変更点に関わる影響もありそうです。

3つ目は会友の投票者に制限がかかったことです。JRA賞競走馬部門の投票でも2024年度から制限がかかりますが、同様のことが顕彰馬投票でも実施されます。

www.nikkansports.com

記事内ではJRA賞だと33人が対象とのことですが、顕彰馬投票でも同等の記者(全体の約16%程度)が対象になる見込みです。

 

投票方法

2018年以降、顕彰馬投票は電子投票で実施されるようになりました。投票画面は下記のようなイメージです。

顕彰馬記者投票画面イメージ(投票マニュアルより)

投票は馬名を文字入力する形式、該当馬なしへチェックすることも可能です。また、過去3年のうちいずれか1回でも投票があった馬は投票画面下部から一覧形式で閲覧することも可能です。ちなみに2023年の配布資料は2022年以前の資料と比較すると、ページも簡略化され、見やすくなっていますね。

実際に投票した記者の投稿より、2024年も同様の形式であるようです。

また、投票画面にはありませんが、配布資料には下記のような新規投票対象馬を一覧形式で閲覧することもできます。

顕彰馬新規投票対象馬一覧(投票者向け配布資料より)

ただ配布資料を見る必要があるため、投票画面だけを見て投票する記者にとっては対象に含まれません。投票初年度の票数が少ない傾向にあるのは、このような投票システムの環境によるものの可能性も否定はできなさそうです。

 

票の増減要素

心理的な変化を除いた場合、票の増減要素は次のようにまとめられます。

  • 前年顕彰馬選定による今年から投票対象外となる馬の票(アーモンドアイ)
  • 新規対象馬へ投票される票(オジュウチョウサン等)
  • 引退、退職などで投票を止めた記者の票
  • 会友となり3年を経過した記者の票
  • 新たに投票へ参加する記者の票
  • 新聞協会所属の会社で投票記者が変更された票

 

前年投票統計から見えること

前年の投票結果より票数の増減がどの程度あるのか想定してみましょう。なお、昨年の結果に対する統計は下記記事よりご覧ください。

gachach.hatenablog.com

 

記者が実際に何頭へ投票しているか

昨年の投票で記者の投票頭数と人数を集計した結果は下記のとおりです。

投票頭数 投票した記者数 全体比率
4頭 143名 69.08%
3頭 30名 14.49%
2頭 25名 12.08%
1頭 9名 4.35%
0頭 0名 0.00%

4票全て使い切る記者は143名と全体の70%近くに達しました。一方、約30%の記者は票を余らせている傾向にありました。

 

今年から投票対象外になる馬の浮動票

昨年の投票で最後の投票となった馬は下記のとおりです。

  • アーモンドアイ(96.6% 200票)

 

アーモンドアイへ投票しつつ4票全て使い切った記者は143名になります。つまり、この143名は今年アーモンドアイが対象外になることによって他の馬へ投票することが可能になると言えます。そこで2024年に投票された他の馬が最大何票まで加算される可能性があるのか調べてみました。

馬名 最大加算票数 加算後票数 加算後得票率
コントレイル 28 183 88.41%
キングカメハメハ 38 174 84.06%
モーリス 109 144 69.57%
ラヴズオンリーユー 128 144 69.57%
ブエナビスタ 85 143 69.08%
グランアレグリア 111 143 69.08%
アグネスデジタル 128 143 69.08%
ヴィクトワールピサ 129 142 68.60%
シーザリオ 131 141 68.12%
ダイワスカーレット 132 141 68.12%
ハーツクライ 135 141 68.12%
マルシュロレーヌ 136 141 68.12%
ゴールドシップ 119 140 67.63%
アパパネ 137 140 67.63%
クロノジェネシス 138 140 67.63%
エピファネイア 139 140 67.63%
ダイワメジャー 139 140 67.63%
ドゥラメンテ 139 140 67.63%
リスグラシュー 139 140 67.63%

 

項目の説明は下記のとおりです。

  • 最大加算票数・・・アーモンドアイが対象外になることによって理論上加算可能な最大票数
  • 加算後票数 ・・・2023年得票数へ最大加算票数を足した数
  • 加算後得票数・・・加算後票数÷2023年投票者数(207名)

昨年アーモンドアイの票数が特に多いことから、単純計算ではコントレイルとキングカメハメハは最大で顕彰馬に選定されるまで票を伸ばせる余地はあります。他の馬は理論上だと厳しいようにも見えます。

ただし、先程も触れた会友の票数が大幅に減ること、またオジュウチョウサンなどある程度票を集めそうな新規対象馬がいるため、例年よりも振れ幅は大きくなりそうです。

 

主な投票対象馬の展望

コントレイル

昨年はわずか1票差で落選。ただ、4票他の馬へ投票済でコントレイルへ投票できなかった記者も数十名おり、票が伸びる余地も残しています。新規投票対象馬の影響を加味しても通常ならば選定されるでしょう。

 

キングカメハメハ

2019年から昨年までの得票率は10.4%→40.8%→69.5%→71.3%→65.7%とタイミングが噛み合えば顕彰馬に選定されてもおかしくありません。昨年こそ得票率が減少したものの、今年は再度票が伸びる余地は残しています。

 

ブエナビスタ

2014年の得票率は71.8%と高かったものの、ここ5年間は48.7%→48.5%→59.6%→45.0%→28.0%の推移となります。アーモンドアイが投票対象外となるため、昨年より得票率は高くなると考えますが、どこまで戻せるかでしょう。

 

モーリス

過去5年間の得票率は46.1%→34.2%→47.3%→38.6%→16.9%、競走成績や種牡馬実績の割に票数が伸びない印象です。種牡馬成績として国内外で成果を残していますが、アーモンドアイが抜けた今年はどこまで評価されるかでしょう。

 

グランアレグリア

初年度投票ではモーリスに近い得票率16.9%と評価されました。昨年は1人4票の制約で投票できない記者もいたため、昨年より得票数が増える可能性は十分にあります。

 

オジュウチョウサン

障害で連勝を積み重ね、JG1を9勝、また障害転向後に平地へ挑戦もした過去に例を見ないタイプの名馬です。そのため、過去の投票傾向に当てはまるデータも無く記者の投票傾向は分かりません。

1つのカテゴリーを極めた日本を代表する王者には選ばれて欲しいのが本音です。

 

顕彰馬選定予想

コントレイルは昨年1票差で落選でしたが、アーモンドアイが抜けたこともあり、今年はまず選定されるでしょう。不信任的な要素も少ないのは統計でも証明されています。

キングカメハメハは今年新規対象となる馬がどれだけ票を伸ばせるか次第にかかります。投票最終年は来年ですが、同時にイクイノックスが対象となるため、可能ならば今年選定されて欲しいですね。

オジュウチョウサンは記者の心理的な状況と投票傾向がどう結びつくのか想像がつきません。ただし、今年落選したとしても投票資料に採用されやすくなる来年以降は増えるかもしれません。

他の馬はかなり厳しいと状況だと思います。1人4票までの制約もありますが、25%を超える不支持があるため、会友の制限による投票傾向がどこまで変わるか次第でしょう。

 

今年は会友が大幅減のため、選定されるかどうかがまず第1に重要な要素ですが、投票傾向がどのように変わるかも注目しては如何でしょうか。

 

参考資料