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アジアパターン委員会グランドルール2023年改訂版を確認してみた

以前、ニュージーランドパターン委員会(NZPC)の2023レポート記事でアジアパターン委員会(APC)のルールが変更される旨を書きましたが、先日ニュージーランドサラブレッドレーシング(NZTR)からAPCグランドルール改訂版が公開されました。

前回の記事ではルールの詳細が分からないためレポート内から掻い摘んだ状態でしたが、今回は改定前ルールとの変更点を中心に書いてみます。改定前ルールを知りたい人は以前の記事からチェックをお願いします。

gachach.hatenablog.com

 

 

前回からの変更点

前回のグランドルールからの追加・変更点は5点になります。

 

WBRRECのARF代表変更

WBRRECのうちARFからは3名が代表として任命されますが、今回オーストラリアの代表者がグレッグ・カーペンター氏からベン・ダン氏へ変更されました。グレッグ・カーペンター氏がオーストラリアから香港ジョッキークラブの競走担当部長へ移籍したことも影響しているかと考えられます。

 

年間レースレーティングにおける牝馬アローワンス4ポンド固定化

牡馬・牝馬混合戦において年間レースレーティングの算出時、牝馬は斤量差のみ加算されていました。今回のルール変更では斤量差から4ポンド固定に変わりました。

ただし、日本の場合は以前から2歳戦も含めて4ポンドで算出していたため、実質変わりはありません。

 

4頭未満のレースでの年間レースレーティングの算出方法

4頭未満の場合の年間レースレーティングの計算方法が明確化されました。具体的には不足する頭数分のレーティングを過去のレース実績から補完する方法になります。不足する馬は「欠場馬」と呼ばれ、補完方法は2種類あります。

 

3頭の場合

欠場馬に使用されるレーティングは次のうちどちらか低い方が使用されます。

  • 直近3回の4着以内馬のうち一番低いレーティング
  • レーティング基準値より5ポンド低いレーティング

レーティング基準値は例えば古馬G1ならば115といった数値のことです。この場合だと直近3回の4着以内馬の一番低いレーティングと110を比較、低い方が欠場馬に割り当てられます。

 

3頭未満の場合

出走馬が1頭または2頭の場合、欠場馬は2~3頭存在することになります。欠場馬のうち1頭は上記「3頭の場合」のレーティングを使用します。

その他の欠場馬は次のうちどちらか低い方のレーティングが使用されます。

  • 直近3回の4着以内馬のうち一番低いレーティング
  • レーティング基準値より7ポンド低いレーティング

 

想定例

日本の平地オープン競走でそのような状況はほぼありませんが、仮に今年のエリザベス女王杯が3頭立てだったとして欠場馬がどうなるか確認しましょう。

直近3回の4着以内馬のうち一番低いレーティング

2020年

  1. ラッキーライラック 116
  2. サラキア 119
  3. ラヴズオンリーユー 114
  4. ウインマリリン 111

2021年

  1. アカイイト 112
  2. ステラリア 109
  3. ラヴェル 108
  4. ソフトフルート 108

2022年

  1. ジェラルディーナ 115
  2. ウインマリリン 114
  3. ライラック 112
  4. アカイイト 109

以上より直近3回で一番低いレーティングは108です。次に基準値より5ポンド低い値ですが、基準値は111のため、106になります。直近3回で一番低いレーティング108と基準値より5ポンド低いレーティング106を比較、106の方が低いため、今回の想定例で欠場馬は106が使用されます。

 

3歳限定戦のレーティング基準値の制定

今までレーティング基準値は年齢によるものは2歳戦とそれ以外で分けられていましたが、新たに3歳限定戦の基準値が制定されました。

年齢・性/格付け G1 G2 G3 L
2歳 110 105 100 95
2歳牝馬限定 106 101 96 91
3歳 113
(-2)
108
(-2)
103
(-2)
98
(-2)
3歳牝馬限定 109
(-2)
104
(-2)
99
(-2)
94
(-2)
古馬 115 110 105 100
古馬牝馬限定 111 106 101 96

太字部分が新しく制定された基準になります。括弧内は今までの基準値との差です。こちらはNZPCが最近発表した内容と同じです。

 

年間レースレーティングに関する補足

レーティング基準値の項目で次の補足が付け加えられていました。

基準値以上のレースは、APCまたは該当する国内パターン委員会により、パターンへの昇格または新設を検討する資格はあるが、自動的に昇格または新設される権利はありません。
パターンの形や構造、各管轄区のパターンレースの数や競走馬の頭数を考慮する必要があります。

年間レースレーティングの基準値はあくまで検討や資格の条件の1つであって、自動昇格ではない趣旨です。パターンの形や構造というのはレース数が原則G3>G2>G1となるようなピラミッド構造のことを指します。

昇格や新設はパターンレースの全体比率なども考慮する必要があり、例えばニュージーランドはレース全体の5%程度まで下げようと調整を続けています。

 

気になる点

以上がAPCグランドルール2023年改訂版となりますが、NZPCレポート2023のみに記載され、APCグランドルールに記載されていない内容がいくつかあります。

 

昇格基準値について

NZPCレポート2023では昇格する際に該当するレーティング基準値より2ポンド以上上回る必要がある旨が書いてありました。しかし、今回のグランドルールには記載されていません。

 

G2昇格時の承認手順について

G3→G2昇格時、APC過半数の承認が必要とのニュアンスがNZPCレポート2023では記載されていましたが、APCグランドルールにはありません。

 

考えられること

APCグランドルールへ記載されていないことについて、主に2パターンあると考えられます。

  1. グランドルールに追加しない取り決めのパターン
  2. ルール記載に際して変更されたパターン

1つ目はグランドルールに追加しない取り決めです。NZPCレポート2023では過去に長距離競走の格付けに関する猶予措置があったこと、また新型コロナウイルスによる特例があったことが記載されています。特に新型コロナウイルスの特例はニュージーランドトロフィーが格付け降格警告を発したときにも使用されたことを覚えている人はいるでしょう。

2つ目はグランドルール記載に際してルール自体が取り止め、または変更になったパターンです。

いずれにしても推測の域は出ないため、他に情報が出ることを期待したいと思います。

 

おわりに

アジアパターン委員会グランドルールは日本グレード格付管理委員会のルールにあたる日本グレード格付管理要綱にも影響します。また、ダート競走Jpn格付要綱も影響があるかもしれません。

日本グレード格付管理要綱は毎年発行される重賞競走一覧の冊子にも掲載されるため、興味がある方は来年春頃発行される予定の令和6年度重賞競走一覧で確認するのもいいかもしれません。

 

参考資料