ダートグレード競走Jpn格付けのルールブックを読んでみた
※この記事は2022年時点の内容です。2023年版変更点は下記記事をご覧ください。
以前、競馬の格付けルールについて何回か紹介・説明をしてきました。今回は地方競馬を中心に施行されているダートグレード競走のJpn格付けルールブックにあたる「ダート競走Jpn格付要綱」を読んでいきましょう。
以前解説したルールブックは下記からご覧ください。
※紹介するルールは2022年5月時点の内容になります。
要綱を読む前に
ダート競走Jpn格付要綱を読む前に事前知識としていくつか紹介していきましょう。
ダート競走Jpn格付要綱とは
地方競馬のダートグレード競走を中心に使用されるJpn格付けに関するルールブックです。
日本がICSブックにおけるパート1国の仲間入りを果たしたのが2007年、その2年後の2009年度競馬番組から運用されるようになりました。格付けの承認機関は日本グレード格付管理委員会になります。
実運用では日本グレード格付管理委員会で格付けされる前にダート競走振興会議で各主催者などの意向を踏まえた上で議論が行われます。会議後、日本グレード格付管理委員会へ申請を行う流れになります。
用語・略語
要綱内に用語や略語が多数表記されるため、予め記載します。
競馬会:日本中央競馬会(JRA)
各主催者:地方競馬の主催者(大井、川崎、盛岡など) ※NARではありません
委員会:日本グレード格付管理委員会
WBRRC:ワールドベストレースホースランキング委員会
APC:アジアパターン委員会
ダート競走Jpn格付要綱
改正履歴
2008(平成20)年10月31日
2009(平成21)年12月17日
2010(平成22)年10月 7日
2011(平成23)年10月 6日
2012(平成24)年10月11日
2015(平成27)年10月 9日
2017(平成29)年10月 6日
2019(平成31)年 1月18日
2021(令和 3) 年 1月 1日
2022(令和 4) 年 1月 1日
2022(令和 4) 年 5月20日
1.目的
日本中央競馬会(以下「競馬会」という。)および各地方競馬主催者(以下「各主催者」と総称する。)から申請のあったダート交流重賞競走(国際格付競走を除く。以下同じ。)の格付けは、優秀馬の選定のため特に重要な競走を、JpnⅠ、JpnⅡおよびJpnⅢに分類し、生産及び競走馬の成績評価等に必要な価値判断のための共通指標を提供するために行う。
ダート競走Jpn格付要綱の説明です。Jpn1~Jpn3の格付け管理が行われます。また、対象レースの条件は次の全てに該当する競走です。
要綱上では所謂ダートグレード競走のみに限定されているため、芝レースは対象外だと考えられます。例えば、盛岡の芝コースではこの要綱を読む限りJpn格付けのレースが行えないと思われます。
また、日本グレード格付管理委員会の格付け審査が始まった2009年時点でも同様の内容は記載されているため、JRAが2007年~2009年まで実施した日本ダービー等のダートグレード競走以外のJpn格付けについては当時の競馬番組一般事項の重賞競走定義を読むとJRA独自で格付けを行ったものだと考えられます。
個人的に気になったのは国際格付競走以外の部分ですが、ブルーブック等の海外向けだとJpn格付けはリステッド(L)またはリステッド・リストリクテッド(LR)で表記されています。LRはともかくLは一応国際格付競走に該当する気もしますが、この要綱ではG格付け以外と認識します。
2.格付機関
ダート重賞競走のJpn格付は、日本グレード格付管理委員会(以下「委員会」という。)が行う。
Jpn格付けはG格付けと同じく日本グレード格付管理委員会が行います。勘違いされやすい点として、ダート競走振興会議はJpn格付けを行っていません。
3.格付対象競走
格付けの対象となる競走は、ダート重賞競走のうち、出走資格にクラスの上限を定めていない競走であって、所属馬による制限がない競走に限る。
出走資格のクラス上限については例えばB1クラスまでといった条件が決められていないレースのことです。また、所属馬による制限がない競走は地方馬限定や南関限定などの条件が無いレースになります。
4.グレードの定義
(1)格付け
①JpnⅠ競走
年齢別、競走距離別の最優秀馬を選定し、競走馬の生産の指標となる競走体系上最も重要な競走。②JpnⅡ競走
JpnⅠ競走に次ぐ重要な競走。③JpnⅢ競走
JpnⅠ競走、JpnⅡ競走以外のJpn格付競走。
ランク付けとしては、Jpn1>Jpn2>Jpn3の順になります。
(2)競走数
原則として、(G+Jpn)Ⅰ競走は(G+Jpn)Ⅱ競走より少なく、また、(G+Jpn)Ⅱ競走は(G+Jpn)Ⅲ競走より少なくなければならない。
G1とJpn1の合計レース数>G2とJpn2の合計レース数>G3とJpn3の合計レース数を目指すように努めます。原則と書いてあるため必須条件ではありません。
また、距離や馬場などのカテゴリー単位の制限は無いため、単純に全体数さえ合っていれば問題ありません。
5.格付基準
(1)本賞金額
本賞金額については、競走種別・グレード別に原則として以下の金額を満たすものとする。
①2歳
JpnⅠ・・・1着3,000万円以上 総額4,500万円以上
JpnⅡ・・・1着2,200万円以上 総額3,300万円以上
JpnⅢ・・・1着1,400万円以上 総額2,100万円以上②3歳
JpnⅠ・・・1着3,800万円以上 総額5,700万円以上
JpnⅡ・・・1着2,800万円以上 総額4,200万円以上
JpnⅢ・・・1着1,800万円以上 総額2,700万円以上③3(4)歳以上
JpnⅠ・・・1着4,100万円以上 総額6,150万円以上
JpnⅡ・・・1着3,100万円以上 総額4,650万円以上
JpnⅢ・・・1着2,100万円以上 総額3,150万円以上
格付けと出走年齢によって最低限の本賞金のボーダーが決められています。G格付けと比較すると若干条件が緩和されていることが分かります。
(2)競走内容(レースレーティング)
競走種別・格付けごとに下表のレースレーティングを基準とする。
格付け JpnⅠ JpnⅡ JpnⅢ 2歳 110 105 100 (牝馬限定) 106 101 96 3歳・3(4)歳以上 115 110 105 (牝馬限定) 111 106 101 ※ただし、競走体系を勘案して猶予を認めることがある。
※レースレーティング①年間レースレーティング
当該競走で上位4着までの馬のワールドベストレースホースランキング委員会(以下「WBRRC」という。)公式レーティングの平均値をいう。なお、牝馬限定以外の競走において、上位4着までに牝馬が入着した場合には、4ポンドを加算して算出する。②パターンレースレーティング
「年間レースレーティング」の直近3年間の平均値をいう。ただし、2回しか実施されていない競走については、2年間の年間レースレーティングの平均値をパターンレースレーティングとして認める。
Jpnでも格付けの基準はあり、基本的にはG格付けと同じレーティング基準になります。ただし、降格のみ後述で登場する経過措置が関わってきます(昇格・新設に経過措置はありません)。説明は後ほど行います。
6.格付けの審査等
(1)昇格
競走の昇格(新たな格付けを含む。以下この項において同じ。)については、以下のとおりとする。
①各主催者より申請があった場合、委員会において当該競走を審査する。
②同様の競走条件下で最低2年間実施され、昇格する予定の年度に上記5-(1)の基準を満たし、かつ、パターンレースレーティング及び直近の年間レースレーティングが5-(2)の基準値を満たしていることを条件とする。ただし、上記にかかわらず、全日本的な競走体系整備の一環として新設および昇格を行う場合はこの限りではない。
なおWBRRC公式レーティングが未確定の競走については暫定の年間レースレーティングを用いることができる。③競走の昇格の決定は、全会一致を条件とする。
こちらも基本的にはG格付けと同じになりますが大きく異なる点が2点あります。
1つ目はアジアパターン委員会(APC)の承認が不要で、どのような場合でも日本グレード格付管理委員会のみで格付けを完結できます。
2つ目は全日本的な競走体系整備の一環として新設および昇格を行う場合、レーティング条件に関わらず新設や昇格を行うことが可能です。こちらのルールは2022年1月1日改正版から追加されました。具体的には2023年2歳世代から開始されるダート三冠などのために追加されたルールと言ってもいいでしょう。
(2)降格
競走の降格(グレードの取消しを含む。以下この項において同じ。)については、以下のとおりとする。
①JpnⅠ競走・JpnⅡ競走
年間レースレーティングが上記5-(2)の基準を2年連続して3ポンドを超えて下回った場合、委員会は各主催者に警告を発する。さらに、その翌年度においても3ポンドを超えて下回った場合、委員会において当該競走の降格が審査される。②JpnⅢ競走
年間レースレーティングが上記5-(2)の基準を2年連続して3ポンドを超えて下回った場合、委員会は各主催者に警告を発する。さらに、その翌年度においても3ポンドを超えて下回った場合、降格とする。ただし、競走条件の変更が提案された場合は、1年間猶予されるが、その1年の年間レースレーティングが基準を3ポンドを超えて下回った場合は、降格とする。③上記①・②にかかわらず、上記5-(1)の基準を下回った場合は、降格とする。
④①の競走の降格の決定は、降格への賛成が2票以上上回っていることを条件とする。
降格ルールも基本的にはG格付けとほぼ同じです。強いて言えば、APCが絡んでいない点とJpn1とJpn2の降格を決める投票ルールが異なる点でしょうか。
また、後述の経過措置で降格に関する内容がありますが説明は該当部分で行います。
(3)その他
①年間レースレーティングの算出において、委員会が特に認めた場合は、当該レース出走馬のうち、レーティングの高い上位4頭の馬のレーティングを用いて算出した数値を考慮する。
②下表左欄に定める項目の変更を行う場合、各主催者は委員会に変更申請を行わなければならない。ただし、下表(1)から(7)の右欄に該当しない変更、(8)(9)の変更については、報告とすることも可とする。
なお、下表左欄の変更項目のうち、右欄に該当する変更が生じる場合は、委員会の過半数の承認を必要とする。
(1)格付け *1 すべての変更 (2)競走種別 すべての変更 (3)性別 すべての変更 (4)実施時期 *2 当該節から前々節または次々節を超える変更 (5)競走距離 1,600m以上の競走:200m以上の距離変更 1,600m未満の競走:100m以上の距離変更 (6)使用馬場 すべての変更 (7)実施場 工事等による一時的な変更以外のもの (8)競走名 (9)負担重量 *1 昇格の承認については、6-(1)ー③により、委員会の全会一致が必要
*2 実施時期は以下の節による第1節
・1月1日が水・木・金曜日および閏年の火曜日の場合、
1月1日から第2金曜日まで・1月1日が土・日・月・火(除く閏年)の場合、
1月1日から第1金曜日まで第2節から第51節
第1節直後の土曜日から直後の金曜日までを第2節とし、以降同様に第51節まで順次区分とする第52節
第51節直後の土曜日から12月31日まで③競走名については原則として恒久的な競走名を使用しなければならない。ただし、不変箇所を除く名称における変更もしくは追加はこれを認める。
④新たなJpn格付けは、特別な場合を除いてJpnⅢ競走とする。
ただし、委員会が必要と認めた場合、JpnⅠ競走またはJpnⅡ競走とすることも可能とする。
①については、年間レースレーティングの算出ルールでレーティングの高い上位4頭も使用可能です。ただし、委員会が特に認めた場合に限るため実際に使用されたかどうかについては外部からでは分かりません。
②で特に目を引くのは実施時期と節の考え方でしょうか。節は簡単に言えば、週番号のカウント方法で、土曜日~金曜日を1週として数えます。節の数え方は2022年5月20日改正版から登場、節によるカウントが登場する以前は前後2節ではなく14日を超える実施期間の変更として記載されていました。
節でカウントするように理由としては、今後Jpn1へ昇格予定の羽田盃の施行時期が年によって4月下旬や5月上旬と安定しないためだと推測します。
③と④は日本グレード格付管理要綱でも同等の内容が記載されているため省略します。
7.格付けの申請
各主催者は、日程・競走内容等について各主催者間での調整・合意を経た上で、競馬会は格付けの対象となる競走を行う予定の年度の前年9月末日までに、各地方競馬主催者は前年10月末日までに委員会に申請するものとする。
委員会は申請された格付案を審査し、審査後は速やかに重賞競走の格付けを各主催者へ通知するものとする。
JRAの申請期限は9月末、地方競馬各主催者は10月末までに申請する必要があります。
8.要綱の変更
本要綱を変更する場合は、委員の過半数の承認を条件とする。
要綱を変更するための条件です。
附則
この要綱は、2008(平成20)年10月31日から施行する。
この要綱は、2009(平成21)年12月17日から施行する。
この要綱は、2010(平成22)年10月17日から施行する。
この要綱は、2011(平成23)年10月16日から施行する。
この要綱は、2012(平成24)年10月11日から施行する。
この要綱は、2015(平成27)年10月19日から施行する。
この要綱は、2018(平成30)年1月1日から施行する。
この要綱は、2019(平成31)年1月18日から施行し、改正後のダート競走Jpn格付要綱(以下「改正後の要綱」という。)は2019(平成31)年1月1日から適用する。ただし、改正後の要綱第5項第2号の規定は2018(平成30)年1月1日から適用する。
この要綱は、2021(令和3)年1月1日から施行する。
この要綱は、2022(令和4)年1月1日から施行する。
この要綱は、2022(令和4)年5月20日から施行する。
今までの施行・改正履歴が掲載されています。競馬番組の年度に置き換えると次の時期に改正があります。
2009~2013の各年度
2016年度
2018年度
2019年度
2021年度
2022年度
2023年度(予定)
ダート競走Jpn格付要綱改正に係る経過措置
ダート競走Jpn格付要綱 5.格付基準(2)競走内容(レーティング)表下ただし書および6.格付けの審査等の取扱いは以下のとおりとする。
【降格】
当分の間、降格の審査にあたっては、平成22年10月7日施行、平成23年10月6日施行もしくは平成31年1月18日施行の基準を適用できる。
【参考】
平成23年10月6日改正時に本経過措置を設け、平成29年10月6日、平成31年1月18日および令和3年1月1日改正時に見直しを実施した。
降格の審査時のみ過去のレーティング基準を使用できます。が、これだけだと肝心のレーティング基準が分かりません。当時のレーティング基準と降格審査の手順は次のようになります。
平成22年10月7日(2010年10月7日)施行の降格基準
降格基準
5.格の変更(昇格、降格、格の取消し)
(2)降格及び格の取消し
委員会は、降格又は格の取消しの可能性がある以下の競走について審査し、多数決により決定する。
①賞金額が『Ⅱ格付け基準の1.賞金額』に定める基準を下回った競走
②競走内容(レーティング)が『Ⅱ格付け基準の2.競走内容(レーティング)』に定める基準を2年連続して下回った競走
③年齢区分、性区分、実施主催者又は施行場を変更した競走
④競走の意義に変化を生じるような施行時期、競走距離又は負担重量等に大きな変更があった競走
賞金額の条件は現行と同じため、レーティング条件が異なります。
レーティング基準
2.競走内容(レーティング)
(1)原則として過去3ヵ年のレースレーティングの平均値により評価を行う。なお、平均値の算出にあたっては、過去5ヵ年のうち値の高い3ヵ年のレースレーティングを用いることができる。
※レースレーティングとは、その競走における到達順位上位4頭のレーティングの平均値をいう。
(2)上記(1)の評価数値の基準を、各年齢区分においてグレードごとに下表のとおり定める。なお、以下を考慮したレースレーティングを用いることができる。
◇牝馬のアローワンス加算
◇到達順位によらずレーティングの高い馬4頭の平均値
(表)
格付け JpnⅠ JpnⅡ JpnⅢ 2歳 100 95 90 3歳 105 100 95 3歳(4)歳以上 110 105 100
レーティング基準は現在よりも緩いことがわかるでしょう。
2022年版と異なる点
2022年と異なる点は以下のとおりです。
- レーティング基準が緩く、G格付けと比較して-5~-10の基準が使用可能
- 牝馬限定競走専用の基準は無く、常に牝馬アローワンスを加算することが可能
- 着順に関わらず出走馬の中でレーティングの高い上位4頭の値を使用することが可能
- パターンレースレーティングのみで評価を行い、2年連続して基準値を下回った場合、Jpn格付けに関わらず審査を行う(自動降格は行わない)
- パターンレースレーティングは過去5年のうち、高い3年の平均値を使用することも可能
比較方法や条件が現在とかなり異なります。大半のJpn格付けは2010年改正版を使用すれば降格を免れることができるでしょう。
平成23年10月6日(2011年10月6日)施行の降格基準
レーティング基準
5.格付け基準
(2)競走内容(レーティング)
競走種別・格付けごとに下表のレースレーティング数値を基準とする。
格付け JpnⅠ JpnⅡ JpnⅢ 2歳 110 105 100 (牝馬限定) 105 100 95 3歳・3(4)歳以上 115 110 105 (牝馬限定) 110 105 100 ※ただし、競走体系を勘案して猶予を認めることがある。
※レースレーティング①年間レースレーティング
当該競走で上位4着までの馬のワールドランキング統括委員会(以下「WRSC」という。)公式レーティングの平均値をいう。なお、牝馬限定以外の競走において、上位4着までに牝馬が入着した場合には、4ポンドを加算して算出する。また、当該レース出走馬のうち、レーティングの高い上位4頭の馬のレーティングを用いて算出することができる。その場合も牝馬アローワンスは加算するものとする。②パターンレースレーティング
「年間レースレーティング」の直近3年間の平均値をいう。ただし、2回しか実施されていない競走については、2年間の年間レースレーティングの平均値をパターンレースレーティングとして認める。
2022年改正版にかなり近い条件なのがわかります。
降格基準
6.格付けの審査等
(2)降格
競走の降格(グレードの取消しを含む。以下この項において同じ。)については、以下のとおりとする。
①JpnⅠ競走
年間レースレーティングが上記5-(2)の基準を3年連続して5ポンドを超えて下回った場合、委員会は各主催者に警告を発する。さらに、基準を4年連続して5ポンドを超えて下回った場合、当該競走の降格が審査される。②JpnⅡ・JpnⅢ競走
年間レースレーティングが上記5-(2)の基準を2年連続して3ポンドを超えて下回った場合、委員会は各主催者に警告を発する。さらに、その翌年度においても3ポンドを超えて下回った場合、降格とする。ただし、競走条件の変更が提案された場合は、1年間猶予されるが、その1年の年間レースレーティングが基準を3ポンドを超えて下回った場合は、降格とする。③上記①・②にかかわらず、上記5-(1)の基準を下回った場合は、降格とする。
Jpn1は条件が緩いのに対し、Jpn2~3はほぼ変わりありません。
2022年版と異なる点
2022年と異なる点は以下のとおりです。
- 牝馬限定戦のレーティング基準が4ポンドではなく5ポンドある
- 着順に関わらず出走馬の中でレーティングの高い上位4頭の値を使用することが可能
- Jpn1の降格審査が4年連続して5ポンドを下回ったときに実施される
- Jpn2の降格審査が無く、基本的に自動降格となる
平成31年1月18日施行(2019年1月18日)の降格基準
レーティング基準
5.格付け基準
(2)競走内容(レーティング)
競走種別・格付けごとに下表のレースレーティング数値を基準とする。
格付け JpnⅠ JpnⅡ JpnⅢ 2歳 110 105 100 (牝馬限定) 105 100 95 3歳・3(4)歳以上 115 110 105 (牝馬限定) 110 105 100 ※ただし、競走体系を勘案して猶予を認めることがある。
※レースレーティング①年間レースレーティング
当該競走で上位4着までの馬のワールドベストレースホースランキング委員会(以下「WBRRC」という。)公式レーティングの平均値をいう。なお、牝馬限定以外の競走において、上位4着までに牝馬が入着した場合には、4ポンドを加算して算出する。②パターンレースレーティング
「年間レースレーティング」の直近3年間の平均値をいう。ただし、2回しか実施されていない競走については、2年間の年間レースレーティングの平均値をパターンレースレーティングとして認める。
牝馬限定戦の猶予が4ポンドではなく5ポンドとしています。その他は2022年改正版と同じになります。
降格基準
6.格付けの審査等
(2)降格
競走の降格(グレードの取消しを含む。以下この項において同じ。)については、以下のとおりとする。
①JpnⅠ競走・JpnⅡ
年間レースレーティングが上記5-(2)の基準を2年連続して3ポンドを超えて下回った場合、委員会は各主催者に警告を発する。さらに、その翌年度においても3ポンドを超えて下回った場合、当該競走の降格が審査される。②JpnⅢ競走
年間レースレーティングが上記5-(2)の基準を2年連続して3ポンドを超えて下回った場合、委員会は各主催者に警告を発する。さらに、その翌年度においても3ポンドを超えて下回った場合、降格とする。ただし、競走条件の変更が提案された場合は、1年間猶予されるが、その1年の年間レースレーティングが基準を3ポンドを超えて下回った場合は、降格とする。③上記①・②にかかわらず、上記5-(1)の基準を下回った場合は、降格とする。
④①の競走の降格の決定は、降格への賛成が2票以上上回っていることを条件とする。
こちらは2022年版から変わりありません。
2022年版と異なる点
2022年と異なる点は以下のとおりです。
- 牝馬限定戦のレーティング基準が4ポンドではなく5ポンドある
降格経過措置のまとめ
以上より、2010年版か2011年版のどちらかの経過措置を使用すれば、Jpn格付けの降格はほぼありません。
おわりに
以上がダートグレード競走で使用されるJpn格付けルールとなります。G格付けとは異なり、国内専用のルールなので融通が利くことがわかるかと思います。
2023年の2歳戦、2024年の3歳戦からダートグレード競走を中心として日本のダート競馬は大きな転換期を迎えようとしています。11月下旬には2023年度のダートグレード競走の日程が発表されるため、どのような変化があるか注目していきたいと思います。
参考資料
- ダート競走Jpn格付要綱
- 競馬番組 一般事項(2008~2009年)
- The Blue Book(ブルーブック)
更新履歴
- (2022/11/28) 誤字修正、一部表記や言い回しを変更しました。
- (2024/01/31) 2023年版に関する内容を追記しました。