2024年顕彰馬記者投票では新たにキングカメハメハ号、コントレイル号が顕彰馬に選定されました。
また、JRA競馬博物館では2025年4月から顕彰馬キングカメハメハ号、コントレイル号の常設展示が開始されています。
【常設展示のお知らせ】
— JRA競馬博物館 (@JRARacingMuseum) 2025年4月25日
令和6年度に顕彰馬に選定された #キングカメハメハ 号および #コントレイル 号の絵画とブロンズ像が新たに常設展示されました。
絵画は長瀬智之氏、ブロンズ像は外崎祥志氏による作品です。
明日4月26日(土)よりご覧いただけます。#東京競馬場 pic.twitter.com/TVeB8Gpfry
今回は実際にどのような投票パターンで投票が行われたのか、それに関わる統計データがどのようなものか確認してみましょう。
また、前回の統計を知りたい方は以前の記事からご覧ください。
使用する資料
今回使用する資料はこちらになります。

前回に引き続き、個人情報はマスキングされているため、どの記者がどの馬へ投票したのかは分かりません。しかし、投票馬のパターンは分かるため統計を知るためには使用可能です。
また投票結果一覧は投票馬1から昇順に並び替えられています。そのため、JRA公式サイトに公開されている記者名簿一覧を単純に当てはめても実際に投票した記者にはならないと考えられます。
投票頭数別記者の人数
記者投票では1人辺り最大4頭まで投票が可能です。最大と書いたのは顕彰馬に相応しいと思う対象馬が4頭未満の場合、1頭や2頭のみに投票することも可能なためです。ここでは4頭全て投票した記者が全体のどれぐらいを占めるのか、また1~2頭しか投票しなかった記者がどれぐらいいるのか頭数別に人数と割合を見ましょう。
| 投票頭数 | 人数 | 比率 | (参考) 前年比率 |
|---|---|---|---|
| 0頭 | 1人 | 0.57% | 0.00% |
| 1頭 | 17人 | 9.66% | 4.35% |
| 2頭 | 22人 | 12.50% | 12.08% |
| 3頭 | 27人 | 15.34% | 14.49% |
| 4頭 | 109人 | 61.93% | 69.08% |
4票全て該当馬なしへ投票した記者の人数は1人、つまり1人を除き他の記者は1頭以上へ投票したということになります。

記者の投票頭数の人数を例年と比較したグラフは次のとおりになります。

2023年と比較すると1人4票も使用せず3票以下で投票を済ます記者の割合が増えましたが、2022年と比較すると多少は票を入れるようになったようにも見えます。
2023年はアーモンドアイ、コントレイルなど投票対象馬のうち多くの記者が投票する馬がいたため、1人4頭投票する記者も多かったのでしょう。
2024年は会友の投票条件が厳格化された影響で会友自体の占有率が減少しましたが、2022年と比較すると1人1頭へ投票した人の割合が若干減り、1人2頭~4頭へ投票したした記者がが若干増えたように見えます。そのため、機械的に会友の占有率を減らした効果はあまり無いようにも感じられます。
競走馬別票割れ発生一覧
次に競走馬別にどれぐらいの不支持を受け、票割れの影響を受けているのか見ていきましょう。
考え方について
顕彰馬投票は有効投票者数の75%以上の得票で選定されます。逆を言えば、特定の馬へ意図的に投票しなかった人が25%を超える時点で選定されません。
例えば次のように投票した記者Aがいるとします。
この場合、オジュウチョウサン、キングカメハメハ、コントレイルは投票を行ったので支持していることがわかります。しかし、もう1頭投票可能にも関わらずブエナビスタ、モーリスなどへ意図的に投票をしていないため、3頭以外は顕彰馬に相応しくないことがわかります。
一方、今回は次のように投票した記者がいます。仮に記者Bとしましょう。
このような投票だと、オジュウチョウサン、キングカメハメハ、ブエナビスタ、モーリスは支持しています。他のコントレイル、ヴィクトワールピサなどは投票上限が1人4票のため、投票することが出来なかったのか、それとも4頭丁度で他の馬へ投票するつもりがないのかは判断がつきません。つまり、投票上限が4票ではなく、6票や8票であれば投票できた可能性もあります。
これらを各馬毎に照らし合わせ、支持・不支持・支持なのか不支持なのか分からない票の3パターンに分ければ、どのような落選なのか確認することがある程度可能になります。同じ落選でも票割れで落選したのか、不支持が多く落選したのか視覚的に判断できるでしょう。
項目の説明
支持数 実際の投票で得られた票数
中間数 1人4票の制限が無かった場合に得られる可能性がある最大票数
不支持数 1人4票の制限が無くても入らなかった票数
票割判定 ○:票割れあり、△:票割れ保留、×:票割れ無し、-:選定
判定は機械判定で式は次のとおりです。
-:支持数÷有効投票数≧75%
○:(支持数+(中間数÷2))÷有効投票数≧75%以上
×:不支持数÷有効投票数>25%を超える
△:上記以外
考え方としては中間数の票は全員が入れるとは限らないため、中間数の半数を支持すると仮定したものになります。
競走馬別一覧
| 馬名 | 記者数 | 支持数 | 中間数 | 不支持数 | 支持率 |
支持率 |
不支持率 (下限値) |
票割判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| コントレイル | 176 | 152 | 8 | 16 | 86.40% | 90.91% | 9.09% | - |
| キングカメハメハ | 176 | 143 | 7 | 26 | 81.30% | 85.23% | 14.77% | - |
| オジュウチョウサン | 176 | 102 | 45 | 29 | 58.00% | 83.52% | 16.48% | △ |
| ブエナビスタ | 176 | 45 | 68 | 63 | 25.60% | 64.20% | 35.80% | × |
| モーリス | 176 | 39 | 74 | 63 | 22.20% | 64.20% | 35.80% | × |
| シーザリオ | 176 | 16 | 94 | 66 | 9.10% | 62.50% | 37.50% | × |
| ゴールドシップ | 176 | 12 | 97 | 67 | 6.80% | 61.93% | 38.07% | × |
| アグネスデジタル | 176 | 9 | 101 | 66 | 5.10% | 62.50% | 37.50% | × |
| グランアレグリア | 176 | 9 | 100 | 67 | 5.10% | 61.93% | 38.07% | × |
| ハーツクライ | 176 | 9 | 100 | 67 | 5.10% | 61.93% | 38.07% | × |
| ダイワスカーレット | 176 | 8 | 101 | 67 | 4.50% | 61.93% | 38.07% | × |
| ヴィクトワールピサ | 176 | 8 | 101 | 67 | 4.50% | 61.93% | 38.07% | × |
| ドゥラメンテ | 176 | 7 | 102 | 67 | 4.00% | 61.93% | 38.07% | × |
| アパパネ | 176 | 4 | 106 | 66 | 2.30% | 62.50% | 37.50% | × |
| エフフォーリア | 176 | 3 | 107 | 66 | 1.70% | 62.50% | 37.50% | × |
| ダイワメジャー | 176 | 3 | 106 | 67 | 1.70% | 61.93% | 38.07% | × |
| ラヴズオンリーユー | 176 | 3 | 106 | 67 | 1.70% | 61.93% | 38.07% | × |
| マルシュロレーヌ | 176 | 2 | 107 | 67 | 1.10% | 61.93% | 38.07% | × |
| キズナ | 176 | 1 | 108 | 67 | 0.60% | 61.93% | 38.07% | × |
| コパノリッキー | 176 | 1 | 108 | 67 | 0.60% | 61.93% | 38.07% | × |
| ジャスタウェイ | 176 | 1 | 108 | 67 | 0.60% | 61.93% | 38.07% | × |
| リスグラシュー | 176 | 1 | 108 | 67 | 0.60% | 61.93% | 38.07% | × |
グラフで表すと次のようになります。

コントレイル、キングカメハメハは2頭とも80%を超え、不支持も15%未満のため十分選定基準を満たしています。
オジュウチョウサンは支持率が58.00%と選定基準までには遠いものの、明確に不支持と表明したのが16.48%しかありません。そのため、4票使い切って投票することが出来なかった記者が多くいると考えられます。いわゆる票割れの影響はあるかもしれません。もし、1人辺りの投票上限が4票よりも多いシステムならば、選定馬となった可能性も考えられます。
ブエナビスタ、モーリスなどは明確に不支持と表明した記者が30%を超えるため、仮に1人6票や8票あったとしても75%以上の支持率は獲得できず落選するでしょう。これらの馬は投票記者の1/4以上がNOと言っているようなものです。
まとめ
以上より次の結論になります。
選定馬
- キングカメハメハ
- コントレイル
票割れが起きた可能性のある馬
- オジュウチョウサン(初年度)
4票全て投票を行いオジュウチョウサン自身へ投票できなかった記者が多数いるため、2025年以降で有力馬が少なくなった際に選定/落選するかは読みづらい状況です。
票割れとは関係なく落選した馬
- ブエナビスタ
- モーリス
- シーザリオ
- ゴールドシップ
- アグネスデジタル(最終年)
- グランアレグリア
- ハーツクライ
- ダイワスカーレット
- ヴィクトワールピサ
- ドゥラメンテ
- アパパネ
- エフフォーリア(初年度)
- ダイワメジャー
- ラヴズオンリーユー
- マルシュロレーヌ
- キズナ(初投票)
- コパノリッキー
- ジャスタウェイ
- リスグラシュー
おわりに
コントレイルは2023年惜しくも1票差での落選でしたが、2024年無事に選定されたことは喜ばしいです。
キングカメハメハは現行ルールだと2025年が投票最終年のため、期間内に選定された点はホッとしました。また、繁殖実績がメインの馬が現行ルールで選定されることの難しさを示したと思います。
オジュウチョウサンについてはコントレイル、キングカメハメハが投票対象となった影響を受けた馬の1頭でしょう。不信任を明示した記者が少ないため、信任投票形式なら選定された可能性は否定できないでしょう。
2025年からはイクイノックスなどが投票対象に加わります。今年も5月から投票開始のようですが、2022年アーモンドアイ落選のようなファンが首をかしげる自体だけは避けてもらいたいものです。
(おまけ)投票パターン
おまけで投票パターンを記者別投票頭数毎に掲載します。
競走馬1~4のパターンは得票数の多い順。
並び順は、投票頭数>投票者数>50音順になります。
| 投票頭数 | 競走馬1 | 競走馬2 | 競走馬3 | 競走馬4 | 投票者数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | ブエナビスタ | 15 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | モーリス | 14 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | ブエナビスタ | モーリス | 9 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | シーザリオ | 8 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | ゴールドシップ | 4 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | ブエナビスタ | グランアレグリア | 4 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | アグネスデジタル | 3 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | ダイワスカーレット | 3 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | ヴィクトワールピサ | 2 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | エフフォーリア | 2 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | ドゥラメンテ | 2 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | ハーツクライ | 2 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | シーザリオ | ゴールドシップ | 2 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | シーザリオ | ハーツクライ | 2 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | ブエナビスタ | ヴィクトワールピサ | 2 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | ブエナビスタ | ドゥラメンテ | 2 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | モーリス | ゴールドシップ | 2 |
| 4 | オジュウチョウサン | ブエナビスタ | モーリス | グランアレグリア | 1 |
| 4 | キングカメハメハ | アグネスデジタル | ハーツクライ | ダイワメジャー | 1 |
| 4 | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | ゴールドシップ | ドゥラメンテ | 1 |
| 4 | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | ブエナビスタ | ダイワスカーレット | 1 |
| 4 | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | モーリス | ハーツクライ | 1 |
| 4 | キングカメハメハ | シーザリオ | ラヴズオンリーユー | ジャスタウェイ | 1 |
| 4 | キングカメハメハ | ブエナビスタ | アグネスデジタル | ダイワスカーレット | 1 |
| 4 | コントレイル | オジュウチョウサン | マルシュロレーヌ | リスグラシュー | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | アグネスデジタル | ヴィクトワールピサ | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | アグネスデジタル | ハーツクライ | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | キズナ | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | ダイワメジャー | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | マルシュロレーヌ | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | ラヴズオンリーユー | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | ゴールドシップ | ヴィクトワールピサ | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | シーザリオ | グランアレグリア | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | ドゥラメンテ | アパパネ | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | ハーツクライ | ヴィクトワールピサ | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | ハーツクライ | ダイワメジャー | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | ブエナビスタ | アパパネ | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | ブエナビスタ | ダイワスカーレット | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | モーリス | グランアレグリア | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | モーリス | シーザリオ | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | モーリス | ダイワスカーレット | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | モーリス | ドゥラメンテ | 1 |
| 4 | コントレイル | キングカメハメハ | モーリス | ラヴズオンリーユー | 1 |
| 4 | コントレイル | ブエナビスタ | アグネスデジタル | グランアレグリア | 1 |
| 4 | コントレイル | ブエナビスタ | アパパネ | コパノリッキー | 1 |
| 4 | コントレイル | ブエナビスタ | モーリス | ダイワスカーレット | 1 |
| 4 | コントレイル | モーリス | ゴールドシップ | グランアレグリア | 1 |
| 4 | ブエナビスタ | モーリス | ゴールドシップ | ヴィクトワールピサ | 1 |
| 3 | コントレイル | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | 該当馬なし | 17 |
| 3 | コントレイル | オジュウチョウサン | ブエナビスタ | 該当馬なし | 2 |
| 3 | コントレイル | オジュウチョウサン | モーリス | 該当馬なし | 2 |
| 3 | コントレイル | キングカメハメハ | ブエナビスタ | 該当馬なし | 2 |
| 3 | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | シーザリオ | 該当馬なし | 1 |
| 3 | コントレイル | オジュウチョウサン | アグネスデジタル | 該当馬なし | 1 |
| 3 | コントレイル | キングカメハメハ | エフフォーリア | 該当馬なし | 1 |
| 3 | コントレイル | キングカメハメハ | モーリス | 該当馬なし | 1 |
| 2 | コントレイル | キングカメハメハ | 該当馬なし | 該当馬なし | 8 |
| 2 | コントレイル | オジュウチョウサン | 該当馬なし | 該当馬なし | 7 |
| 2 | キングカメハメハ | オジュウチョウサン | 該当馬なし | 該当馬なし | 5 |
| 2 | コントレイル | アパパネ | 該当馬なし | 該当馬なし | 1 |
| 2 | コントレイル | モーリス | 該当馬なし | 該当馬なし | 1 |
| 1 | コントレイル | 該当馬なし | 該当馬なし | 該当馬なし | 8 |
| 1 | キングカメハメハ | 該当馬なし | 該当馬なし | 該当馬なし | 6 |
| 1 | オジュウチョウサン | 該当馬なし | 該当馬なし | 該当馬なし | 3 |
| 0 | 該当馬なし | 該当馬なし | 該当馬なし | 該当馬なし | 1 |
参考サイト・資料
- JRA公式サイト 2024年度投票結果
- 2024年度顕彰馬記者投票結果一覧