百々書き置き場

SNSに書き切れなかったり記録として残しておきたい内容を置いておくところ

JRA顕彰馬選定記者投票2023年展望

毎年恒例となったJRA顕彰馬選定記者投票の結果発表が近づいてきました。昨年はアーモンドアイがまさかの落選となりましたが、今年はどのようなことが状況なのか展望してみましょう。

記者投票の期間と発表日想定

中日スポーツの記事より今年の投票期間は5月6日(土)~5月28日(日)日本ダービー当日までが期限となります。

www.chunichi.co.jp

 

電子投票化された2018年以降では期限日の翌週火曜日14時頃に発表される傾向があるため、今年の場合は6月6日(火)と想定します。

 

主な新規投票対象馬

投票対象となるにはJRAの登録を抹消して1年以上経過する必要があります。そのため、2021年4月1日~2022年3月31日の間にJRAの登録を抹消した競走馬が今年度から新しく投票対象になります。

そのうち、G1/Jpn1を3勝以上した馬、または特別な活躍をした馬は次のとおりです。

馬名

G1/Jpn1
勝利数

主な成績
グランアレグリア 6 桜花賞安田記念スプリンターズS、マイルCS2勝、ヴィクトリアマイル
コントレイル 5 クラシック三冠、ジャパンCホープフルS
クロノジェネシス 4 有馬記念宝塚記念2勝、秋華賞
ラヴズオンリーユー 4 QE2世C、BCF&Mターフ、香港C、オークス
クリソベリル 4 チャンピオンズC、JDD、帝王賞JBCクラシック
ケイティブレイブ 3 JBCクラシック帝王賞川崎記念
マルシュロレーヌ 1 BCディスタフ

 

【参考】2024年度投票から対象になる馬

参考までに来年の投票から投票対象となる主な競走馬は次のとおりです。

 

今年度が最後の投票対象馬

JRA登録抹消から20年以内の競走馬が投票対象のため、逆算すると2002年4月1日~2003年3月31日までにJRA登録抹消した競走馬は今年度が最後の投票対象となります。
過去に投票があった馬で今年ラストチャンスとなる競走馬は次のとおりです。

マンハッタンカフェへ投票されたのは2004年のみで当時の票数は2票でした。

 

【参考】2024年度投票で最後の投票になる馬

参考までに来年の投票で最後の年となる主な競走馬は次のとおりです。なお、ルール改定された場合はこの限りではありません。

 

票の増減要素

心理的な変化を除いた場合、票の増減要素は次のようにまとめられます。

  • 前年が投票最終年で今年から投票対象外となる馬の票(ステイゴールドクロフネ
  • 新規対象馬へ投票される票(コントレイル、グランアレグリア等)
  • 引退、退職などで投票を止めた記者の票
  • 新たに投票へ参加する記者の票
  • 新聞協会所属の会社で投票記者が変更された票

 

前年投票統計から見えること

前年の投票結果より票数の増減がどの程度あるのか想定してみましょう。なお、昨年の結果に対する統計は下記記事よりご覧ください。

gachach.hatenablog.com

 

記者が実際に何頭へ投票しているか

昨年の投票で記者の投票頭数と人数を集計した結果は下記のとおりです。

投票頭数 投票した記者数 全体比率
4頭 120名 59.41%
3頭 26名 12.87%
2頭 24名 11.88%
1頭 29名 14.36%
0頭 3名 1.49%

4票全て使い切る記者は120名と全体の60%近くに達するのに対し、全て該当馬なしへ投票した記者3名いました。

また、4頭投票した記者の中には4票では足りない記者もいます。実際、投票した記者の中には不満を漏らす声もあります。

column.keibabook.co.jp

一方、約40%の記者は票を余らせている傾向にありました。

今年の場合、新規対象馬が一気に増えるため、4票全て使いきる記者の割合は増えると見込んでいます。

 

今年から投票対象外になる馬の浮動票

昨年の投票で最後の投票となった馬は下記のとおりです。

 

2頭いずれかへ投票しつつ4票全て使い切った記者は38名になります。つまり、この38名は今年2頭が対象外になることによって他の馬へ投票することが可能になると言えます。そこで2022年に投票された他の馬が最大何票まで加算される可能性があるのか調べてみました。

馬名 最大加算票数 加算後票数 加算後得票率
アーモンドアイ 11 155 76.73%
キングカメハメハ 6 150 74.26%
ブエナビスタ 21 112 55.45%
モーリス 10 88 43.56%
ヴィクトワールピサ 33 63 31.19%
アグネスデジタル 34 55 27.23%
ダイワスカーレット 33 54 26.73%
ゴールドシップ 36 54 26.73%
シーザリオ 32 45 22.28%
リスグラシュー 37 44 21.78%
ハーツクライ 36 41 20.30%
エピファネイア 37 40 19.80%
ダイワメジャー 37 40 19.80%
ジャスタウェイ 38 40 19.80%
シンボリクリスエス 38 40 19.80%
アパパネ 37 39 19.31%

項目の説明は下記のとおりです。

  • 最大加算票数・・・2頭が対象外になることによって理論上加算可能な最大票数
  • 加算後票数 ・・・2022年得票数へ最大加算票数を足した数
  • 加算後得票数・・・加算後票数÷2022年投票者数(202名)

特徴的なのはキングカメハメハよりもアーモンドアイの方が票が伸びる余地が大きいことでしょう。

傾向としてはクロフネステイゴールドへ投票した多くの記者はキングカメハメハとセットに投票していることが分かります。逆にこの2頭が投票対象外になった場合でもキングカメハメハの票が伸びる余地は多くないでしょう。

アーモンドアイについては2頭が対象外となったことで票の振り替えがある程度見込める可能性があります。

ただし、この票加算は今年から対象となる馬を全く考慮していないため、実際にこのようになるかは分かりません。また、投票者の入れ替わりも若干あるため、あくまで投票傾向の目安参考程度だと考えます。

 

主な投票対象馬の展望

アーモンドアイ

昨年はまさかの落選。しかし、当時の得票率は71.3%あり、意図的に投票しなかった記者も少ない状況でした。「他の人が投票するだろうから自分は別の馬へ投票しよう」のような考えの記者が少なくなれば、まず選定されると思います。

 

コントレイル

2020年無敗でクラシック三冠を制し、2021年引退レースのジャパンCを有終の美で飾った名馬です。ただ、同様に記者投票で選定されたディープインパクトオルフェーヴルといった顕彰馬と比較するとG1勝利数など実績面で見劣りするのは否めません。

アピール材料としては、唯一の親子無敗三冠馬京都競馬場の馬像除幕式があったばかりなので、投票記者がどのような印象を持っているのかが票に表れることでしょう。

 

キングカメハメハ

2019年から昨年までの得票率は10.4%→40.8%→69.5%→71.3%と勢いに乗っています。先日には産駒のG1馬頭数が15頭に達したため、国際保護馬名にも指定されました。今年は投票対象馬が増えるため、昨年までの増加傾向がどうなるか気になるところです。

 

グランアレグリア

スプリントからマイルにかけてG1を6勝した名牝です。同じG1を6勝したブエナビスタや距離カテゴリーが近いモーリス等と比較がされるかと思われます。

 

ブエナビスタ

2014年の得票率は71.8%と高かったものの、ここ5年間は50.0%→48.7%→48.5%→59.6%→45.0%と50%前後に留まっています。対象馬が増えることで昨年より票を増やすのは難しいと考えます。

 

モーリス

過去5年間の得票率は45.8%→46.1%→34.2%→47.3%→38.6%、競走成績や種牡馬実績の割に票数が伸びない印象です。種牡馬成績として国内ではピクシーナイトに加えジェラルディーナとジャックドール、海外ではヒトツやマズと産駒G1馬を複数頭輩出しているため、どこまで加算評価されるかでしょう。

 

クロノジェネシス

グランプリ3連勝をはじめとしたG1を4勝した名牝です。イメージとしては春秋グランプリ連覇をして同じくG1を4勝のリスグラシューが近いでしょうか。ただしリスグラシューの場合も初年度は得票率3.5%と苦戦を強いられたこと、他に新規投票対象馬が多いことから相対的に苦戦は免れないでしょう。

 

ラヴズオンリーユー

国内外合わせてG1を4勝した国際派牝馬です。日本馬として初めてブリーダーズCを勝利したことがどこまで評価されるかにかかるでしょう。

 

マルシュロレーヌ

日本調教馬として初めて海外ダートG1、BCディスタフを勝利した馬です。既に投票したことを公言した記者もおり、他の馬には無い唯一の実績で票が集まることが想定されます。

column.keibabook.co.jp

 

顕彰馬選定予想

昨年のこともあり、アーモンドアイは記者が優先的に投票さえすれば選定されるでしょう。不信任的な要素も少ないのは統計でも証明されています。

コントレイルは個人的には75%へ届くかどうか微妙な位置付けだと思っています。ただ、投票期間直前でも頻繁に名前が出てきているため、投票意識は多少向いたと考えます。

他の馬はキングカメハメハを含めて今年は厳しいと思います。1人4票までの制約があるため、投票対象馬が一気に増える今年は分散傾向になると想定します。事前に談合でもして組織票をまとめない限りは難しいでしょう。

それとは別として、新規対象馬は特に気になるため可能な限り票を集めて欲しいですね。

 

参考資料